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ロケットリーグにおける性能差

最終更新:2020/12/01

ロケットリーグには80種類以上の車が存在する。

しかし、実際に使われる車はごく少数だ。

なぜそれほど偏るのか、使われる車ほど優れているのか。

そんな疑問を解決したいと思う。

この記事ではロケットリーグにおける性能差について説明する。

性能差はあるのか

初めに結論を言うが、ロケットリーグには性能差がある。

とはいえそれは微々たるもので、他ゲーに比べれば無いに等しいほどだ。

性能差があるもの

ボディ(以降、と呼ぶ)に関しては若干の性能差がある。

箱のような車、板のような車、それぞれ見た目に合わせたhitbox(当たり判定)になっている。

しかし、車の見た目とhitboxは完全に一致しているわけではない。

直方体の形をしたhitboxが全6種類あり、全ての車にはそのどれかが割り振られている。

簡単に言えば、6種類の性能差があるということだ。

性能差がないもの

車以外の全て、ホイール・ブーストその他諸々のカスタマイズには性能差がない。

ただし、エンジン音やブースト等の音や見た目で違いを感じることはある。

そういった体感の差やプラシーボ効果をこの記事では性能差とはしない。

それを性能差とすると、その日の調子次第でどうとでもなってしまうためだ。

一応言っておくが、体感の差やプラシーボ効果を否定するつもりはない。

6種類のhitbox

  • Octane
  • Dominus
  • Plank / Batmobile
  • Hybrid
  • Breakout
  • Merc

全ての車はこの6種類のどれかに分類される。

2017年7月以前は車ごとに固有のhitboxがあったが、上記の6種類へ標準化された。

誤差レベルの差だとしても、課金しないと使えないhitboxがあるのは、esports的な観点ではマイナスなので良い変更だろう。

PlankとBatmobileは現在全く同じものだ。

2018年にPlank・Batmobile間で若干の差が生まれたり、結局Batmobile側に統一されたりといった経緯があり、二通りの呼び名がある。

また、ここで言うBatmobileとは、'16 Batmobile(Kuxirの愛車)の方を指す。

標準化にあたって、DeLorean Time MachineのhitboxはDominusだと公表されたが、ミスにより実際はOctaneになっていた。

2019年6月にそのhitboxはDominusへと変更された。

2020年9月の無料化以降、Mercはhitboxが改められ独立した。

元々のOctane hitboxから、新規hitboxへの変更となる。

変更から日が浅く未知数なため、これからの開拓に期待したい。

hitboxに関する大きな変更はこの辺か。

↓hitboxの分類と統計がまとめられたスプレッドシート

hitboxの詳しい解説

hitboxごとに差がある部分は以下の項目だ。

  • 当たり判定
  • 旋回性能
  • ボールタッチ
  • 重心の位置
  • ホイールの位置・サイズ

具体的な解説は下のRocket ScienceのYoutubeプレイリストにまとめられている。

Rocket Scienceとはロケットリーグへの理解を深めるための動画を上げる、海外のYoutubeチャンネルだ。

All car differences - YouTube

(動画内でPlankとBatmobileが分かれていたり、Mercがないのは、アップデート時期の問題なため気にしなくてよい)

動画は7つあり、大まかな内容は以下のようになっている。

  1. hitboxごとの統計と旋回性能
  2. ホイールの挙動と、位置や大きさの違い
  3. ボールタッチ
  4. 旋回性能の追加情報
  5. Plank / Batmobileの統一
  6. hitboxの可視化とよくある誤解について
  7. 新しいMerc hitbox

全て自分の目で見るべきだが、英語なので簡単に要約してみた。

6以外は映像付きでわかりやすいため、大雑把な要約とする。

1. hitboxごとの統計と旋回性能

「hitboxのあれこれを数値化し表にした。

また、ブーストありなし2パターンで、最高速度で旋回し続ける時のデータを取った。

他のhitboxに比べて、Octaneはどちらのパターンでも最も良くない結果だった。」

2. ホイールの挙動と、位置や大きさの違い

「ホイールでのボールタッチが弱くなるのは、伸縮する部分が勢いを吸収するからだ。

場合によっては、ボールに全く影響を与えないタッチをすることもある。

hitboxごとにホイールの差があるため、それが起こりやすかったり、フリップリセットがしやすかったりという違いがある。

また、実際のホイールには横幅がない。」

3. ボールタッチ

「重心からの角度等によってボールタッチの処理が変わる。

hitboxごとにドリブルやトラップ等のしやすさが変わるのはそれが原因だ。」

4. 旋回性能の追加情報

「旋回性能について、さらに多くのパターンでデータを取った。

前回含め、全てのデータでドリフトは使用していない。

前回最低の結果を出したOctaneだが、曲がり始めに限って見ると最も良い結果となった。

また、応答の速さ・旋回中の逆方向への旋回・低速時等でもOctaneは良い結果が出た。

大きく曲がる場合はドリフトを使うべきで、これらのデータと合わせて考えると、旋回性能においてはOctane・Hybrid・Dominusが優れていると言える。」

5. Plank / Batmobileの統一

「Plank / Batmobile hitboxが、Batmobile側に統合という形で統一された。」

6. hitboxの可視化とよくある誤解について

長い動画だが、話は冒頭5分間で終わる。

「この動画では、PC版で使える全ての車のhitboxを可視化した。

説明文には、アルファベット順に各車の再生時間を書いておく。

hitboxが変更された時や車が追加された時には、説明文に動画を追加する。

hitboxの最も多い誤解について。

"同じhitboxであっても車ごとに性能は違う"

これは間違いだ。

hitboxごとに当たり判定、重心の位置、ホイールの位置、ホイールのサイズは全て決まっている。

これの意味するところは、同じhitboxの車は地上、空中、その他あらゆる場面で全く同じように処理が行われるということだ。

同じhitboxの車は見た目にのみ違いがある。

着地時、旋回時、テレポート時等に車体は揺れるが、実際のhitboxは揺れていない。

つまり、見た目とhitboxは完全に連動しているわけではない。

動画に残したのはこれが理由だ。

ホイールにはさらに劇的な違いがある。

hitboxによってホイールの位置が決まっているため、実際の位置が見た目と全く違うことがある。

さらに、空中に浮くと実際のホイールは見た目以上に伸びる。

それが次の誤解に関係しているかもしれない。

"車の特別な部分に何かが接触するとジャンプが復活する"

これは絶対に間違いだ。

ゲームにはそういったコードはない。

実際のホイールが4つ同時に何かに接触するとジャンプが復活する、が正しい条件だ。

その"何か"はボール、天井、地面、あるいは他の車であっても構わない。

これらが信じられないなら、説明文に貼ったリンクを見てほしい。

この動画ではhitboxごとの正確な統計や処理の差については言及しない。

過去に上げた動画で説明したからだ。

ただし、新しく追加されたMerc hitboxについてはまだ説明できていないため、今後その動画を上げるだろう。

(Rocket Scienceの)Youtubeのチャンネル登録、クリエイターコードの使用、ツイッターのフォロー、Discordサーバーへの参加をよろしく。」

7. 新しいMerc hitbox

「Mercは最も高さがあり、地面からはOctaneの10%高い。

OctaneとBatmobileの高さの差が、MercとOctaneの高さの差と同じくらい。

横幅はOctaneより9%減り、最も横幅のないhitboxとなる。

長さはOctaneより2%ほど増えたが、他のhitboxはそれより10%ほど長い。

また、重心の位置がわずかに前方の下方に寄ったため、重心から正面という観点で見ればOctaneより1%短い。

全体的に、Octaneのメリット・デメリットをさらに色濃くしたようなイメージ。

Octaneと同じホイール位置だが、前輪が少し大きくなっているため、旋回性能はOctaneより若干劣る。」

唯一の例外

例外として、hitboxが同じでも車ごとにスポーン位置がごくわずかにズレているようだ。

Smellsworth氏の下の動画の1:05:13~1:11:25辺りで、Rocket Scienceの中の人であるHalfwayDead氏が言及している。

簡単な要約

「hitboxについての誤解が起きる理由は、車ごとにスポーン位置がごくわずかにズレているからだろう。

運営が車の見た目で位置を合わせているせいで、このズレが起きている。

レーニング等で検証すると、車ごとのスポーン位置のズレのせいで、同じhitboxでも違う結果になってしまう。

しかし、Modを使い全く同じ位置にスポーンさせると、同じhitboxならどの車でも全く同じ結果を得ることができる。

"では、わずかにでもボールに近いスポーン位置の車が、キックオフで有利なのでは?"という質問について。

ロケットリーグでは1秒間に120回の物理演算処理を行っている。

キックオフに最高速度で臨む場合、1秒間に2300uuという単位を移動することになる。

これを120で割ると、処理と処理の間には19.1666…uu分移動していることがわかる。

スポーン位置のズレはおそらく1uuか0.5uuほどであり、考慮するには小さすぎる。」

という内容だ。

つまり、車ごとにスポーン位置はごくわずかに異なるが、誤差レベルのため気にしていない。

また、それはhitbox自体の差ではない、という主張のようだ。

スポーン位置のズレを性能差と言うのか、という問題についてはここで言及しないが、車ごとにごくわずかながら差があることは事実だ。

よく使われる車

Octane・Dominus・'16 Batmobile・Fennecが使用率トップ4となる。

基本的には、競技シーンでその車が活躍するほど使用者が増えると言っていいだろう。

hitbox変更の影響を受ける車も多い中、トップ4は実装からほぼ変わっていない。

Octane・Dominus・最近追加のFennecは変更なし。

'16 Batmobileは一度若干の変更があったが、プロ含むコミュニティの要望により最終的には元に戻った。

それ以外は標準化で多くが変更され、他に比べれば使われていたであろうMercですら最近変更されてしまった。

hitbox変更の歴史を見れば、多数派に乗っかるメリットは明白だ。

さらに、使われるからデカール等の面で優遇される、優遇されるから使われる、の良い循環が起こっている。

Octane

Octane hitbox。2015年7月のゲームリリース時から使える車。

標準化前はOctane固有のhitboxがやや優れていたため、使われるのは必然だっただろう。

esportsデカール等優遇されており、ロケットリーグの主人公と言ってもいい。

Dominus

Dominus hitbox。2015年8月追加。

一時期に比べ使用者は減ったイメージだが、依然として使われている。

esportsデカール等優遇されている。

'16 Batmobile

Plank / Batmobile hitbox。2016年3月追加。

元々持っていた人以外は現在入手不可。

復刻イベントで再販売されたがそれも期間限定だった。

トップ4に入ってはいるが、'16 Batmobileは大幅に使用者が減った。

平たいhitboxに対する認識が変わってきたのかもしれない。

また、一部の大会では版権の影響で使用禁止になることがあり、それも一つの要因だと考えられる。

延期になってしまったが、日本から参加が可能な大会「Intel World Open In Tokyo 2020」でも、版権系の車は使用禁止とされていた。

Fennec

Octane hitbox。2019年7月追加。

最近の追加で使用率トップに入るのは、快挙とも言えるほど珍しい出来事だ。

箱のような見た目が、Octaneよりもわかりやすいという声を多数聞く。

追加されてすぐの大会で、優勝チームのプロが使用し大活躍したことも流行った要因か。

短い期間でいくつも新デカール追加と優遇されている。

よくある質問

Q. どの車を使ったらいいの?

A. おすすめはOctane・Fennec・Dominus辺り

よく使われる車ほど、ボールタッチ等で動画を参考にしやすい。

また、前述の通りhitbox変更のリスクが少なく、優遇もされている。

現在入手できないことを考えると、'16 Batmobileはおすすめしにくい。

Q. 〇〇って車使いやすい?

A. 実際に使ってみて自分で決めるべき

違うhitboxの車が使われたり、同じhitboxでもOctaneとFennecで人口が分かれるため、使用者の感覚次第となる。

Q. どのhitboxが最強?

A. 明確な答えはない

ただし、現在の競技シーンで使われる8~9割ほどがOctane hitboxだ。

850人以上へのアンケートをまとめた、下の動画を参考にするのもいいだろう。

Q. 某動画で見たけど、ホイールの重さや溝に差はないの?

A. ないだろう

しっかりとした検証ができないため断言はしないが、3つの要素からそう考えている。

1. 某動画の根拠が弱い

体感、使用率のみ。

2. Rocket Science曰く、実際のホイールには横幅がない

6番目の動画で実際のホイールを見る限り、溝が影響する余地はないだろう。

マクロを使い再現性のある検証をしている等、Rocket Scienceの情報には信憑性がある。

3. 自分の簡易的な検証では差がなかった

「ホイールのみ変えたOctaneで、カスタムトレーニングの再挑戦を選び、〇ボタンに割り当てたアクセルをロード中から押しっぱなしにする(止まる位置は適当)」

という方法だが、どれも同じ結果になった。

このQ&Aには某動画への他意はない。

まとめ

  • 性能差があるのは車(ボディ)のみ
  • 全ての車は6種類のhitboxのどれかに分類される = 6種類の性能差がある
  • hitboxごとに当たり判定・旋回性能・ボールタッチ・重心・ホイールに差がある
  • hitboxが同じなら見た目しか差はない
  • ただし、車ごとにスポーン位置が誤差レベルでズレている

長くなったが、性能差についてまとめるとこんなものだ。

初めの内は無理に全てを理解する必要はない。

とはいえ、これらは知っておいて損のない知識だ。

余裕があれば覚えておくといい。

また、最初にも言ったが、他のゲームに比べればロケットリーグの性能差なんて大したものではない。

気に入った車を好きに使うのが良いだろう。

動画の翻訳許可をもらった方々のリンク

HalfwayDead氏(Rocket Science)

Twitter / YouTube

Smellsworth氏

Twitter / YouTube

記事の更新履歴

細かい文章の修正は省略。

日付 内容
2020/10/26 よくある質問にホイールの差を追加
2020/11/02 唯一の例外にスポーン位置を追加
2020/12/01 Rocket Scienceの7つ目の動画を追加